埼玉県・川口市の離婚の最新統計データ【2018年版】
1.離婚制度の歴史
古代ローマでは、離婚が自由でした。しかし、ヨーロッパではその後キリスト教の影響から離婚を認めないという伝統が長く続くことになりました。「神が結び合わせたものを、人が離してはいけない」という思想からきています。もっとも、1970年前後からアメリカやヨーロッパでは次々と離婚法の改正が行われ、離婚原因の拡大が認められています。
これに対して日本では、離婚に対する宗教的な拘束が皆無であったことから比較的容易に認められていました。もっとも、容易とはいってもそれは夫からの離婚についてだけであり、妻からの離婚は認められてはいませんでした。しかし、その後民法が制定され法制度として日本でも妻からの離婚が認められるようになりました。
現在日本では、3組に1組が離婚しているといわれています。そこで、本記事では埼玉県・川口市の結婚・離婚の数や率、統計を解説していきたいと思います。
2.離婚原因がないと離婚できない!?
現在の民法では、5つの離婚事由を定めています(民法770条1項)。1つ目が不貞行為(1号)、2つ目が悪意の遺棄(2号)、3つ目が3年以上の生死不明(3号)、4つ目が強度の精神病(4号)、5つ目がその他婚姻を継続し難い重大な事由(5号)です。
簡単に説明しますと、不貞行為とは、配偶者以外の者と任意の性行をなすことです。遺棄とは、民法752条が定める同居・協力義務を履行しないことであり、悪意とは倫理的な意味を持つ故意と同じことをいいます。3年以上の生死不明と強度の精神病は言葉のとおりです。そして、その他婚姻を継続し難い重大な事由には2つの類型があり、1つ目は不貞行為、悪意の遺棄に匹敵するほどの原因です。つまり、配偶者の重大な犯罪行為(殺人等)や重大な侮辱・虐待などです。2つ目は、いわゆる破綻です。夫婦が婚姻継続意思を実質的に失っており、婚姻共同生活を回復することが不可能であると客観的に判断できるような場合がこれにあたります。
離婚する場合には、民法で定められた5つの事由のどれかにあたらない限り離婚することはできません。
3.結婚するカップルは減っている?
離婚についてのみならず、全国的な婚姻件数についても見ていきたいと思います。厚生労働省の調べによりますと、終戦直後の昭和22、23年の「第1次婚姻ブーム」には23年で95万組となりましたが、24年からは急激に減少し、26年は67万組にとどまっています。その後は増加に転じ、昭和45年には「第2次婚姻ブーム」を迎え47年には110万組と「第一次婚姻ブーム」のときよりも大きく件数を伸ばしています。平成6年以降は増減を繰り返し、21年以降はおおむね減少傾向となっています。夫妻の初婚-再婚の組合せ別婚姻件数の年次推移をみると、「夫妻とも初婚」は減少傾向となっています。
未婚について内閣府の調べによると、2015(平成27)年は、30~34 歳では男性はおよそ2人に1人(47.1%)、女性はおよそ3人に 1 人(34.6%)が未婚です。また、35~39 歳では、男性はおよそ3人に1人(35.0%)、女性はおよそ4 人に1 人(23.9%)が未婚となっています。2010年の国勢調査と比べると、男性の30~34歳、35~39歳、女性の30~34歳においては、おおむね横ばいとなっています。
4.再婚するカップルは増加中
厚生労働省の政府統計によると平成29年における離婚件数は21 万2000 組でした。その一方で、離婚後5年以内に再婚をした割合をみると、夫はどの年次に離婚した者も25%を超えています。これを離婚時の年齢階級別にみると、夫は30歳代前半までに離婚した者が離婚後5年以内に再婚をした割合は35%を超え、30歳代後半で約3割、40歳代で約2割となっています。一方、妻は20歳代までに離婚した者が離婚した年次を含む離婚後5年以内に再婚をした割合は30%を超え、30歳代前半で約3割、30歳代後半で約2割となっています。このように再婚をした割合をみると、どの年次でも離婚をした妻よりも夫の方が再婚をしている割合が高いことがわかります。
5.埼玉県・川口市における結婚件数と離婚件数
(1)埼玉県
埼玉県における平成28年度の婚姻件数は34,199組で、前年より558組減少しています。婚姻率の年次推移をみると、昭和46年の11.7をピ-クに低下し、昭和62年(5.7)に上昇に転じたものの、平成5年を境として、総じて低下傾向にあります。
平均初婚年齢は、夫31.5歳、妻29.6歳で、前年と同年齢であり、前年は夫31.1歳、妻29.4歳でした。
これに対して、離婚件数は12,481組で、前年より186組減少しています。離婚率の年次推移をみると、昭和58年以降低下傾向でしたが、平成元年以降は上昇に転じています。その後は平成13年をピークに低下傾向にありましたが、平成27年に6年ぶりに上昇したものの、平成28年は再び低下しています。
(2)川口市
川口市の住民基本台帳によると、婚姻の件数は3109件で婚姻率(人口100人あたり)5.22件となっています。これに対して、離婚の件数は1224件になっており、離婚率(人口100人あたり)2.06件です。
平成26年においての統計では、夫、妻ともに初婚が2439件、夫が初婚で妻が再婚の場合が248件でした。また、夫の平均年齢は初婚の場合が31.5歳、再婚の場合が43.6歳です。妻の平均年齢は初婚の場合が29.8歳、再婚の場合が40.0歳でした。
6.さいごに
以上の統計を見てもらいました通り、全国的にみて初婚の件数が減り、離婚や再婚が上昇傾向にあります。埼玉県や川口市においても同様のことがいえます。家庭内の問題や離婚について悩んでいる方は、おひとりで悩まず一度行政や弁護士に相談してはいかがでしょうか。下記に、様々な問題に関する相談先を掲載していますので、必要に応じてご相談ください。
7.問い合わせ先
・婦人保護・DVなどの家庭内の悩みに関する相談先
福祉部東部中央福祉事務所地域福祉担当
場所:春日部市大沼1-76(埼玉県春日部地方庁舎1Fで)
電話番号:048-737-2359
福祉部西部福祉事務所地域福祉担当
場所:坂戸市石井2327-1
電話番号:049-283-6800
・ひとり親家庭の方で離婚後の養育費問題や就職問題などについての相談先
女性弁護士による法律相談
相談内容:離婚問題全般(養育費・財産分与・親権・面会交流権)、相続、離婚交渉など。
相談日時:月2回程度
会場:埼玉県浦和合同庁舎内(県さいたま市浦和区北浦和5-6-5)
電話番号:048-822-1951(埼玉県母子寡婦福祉連合会)
東部中央母子・父子福祉センター
住所:春日部市大沼1-76
電話番号:048-737-2139
西部母子・父子福祉センター
住所:坂戸市石井2327-1
電話番号:049-283-7991
北部母子・父子福祉センター
住所:本庄市前原1-8-12
電話番号:0495-22-0104
秩父母子・父子福祉センター
住所:秩父市桜木町8-18
電話番号:0494-22-6237
・離婚などの家庭問題について弁護士、司法書士に相談したいときの相談先
弁護士相談
相談日:週3回程度
県内4箇所で弁護士による無料の巡回法律相談が開催されています。相談を受けるには県民相談総合センターまで電話予約が必要です。
春日部地方庁舎1F
住所:春日部市大沼1-76
相談日:月2回程度
川越地方庁舎
住所:川越市新宿町1-17-17-4F
相談日:月2回程度
熊谷地方庁舎1F
住所:熊谷市末広町3-9-1
相談日:月3回程度
秩父地方庁舎1F
住所:秩父市東町29-20
相談日:月2回程度
司法書士相談
相談日:月1回程度
申込方法:県民相談総合センターまで要事前電話予約。
電話番号:048-830-7830