個人再生の申し立てと年金受給のこと
借金を法的に減額し減額分を分割で返済をしていく個人再生は、年金受給者でも申し立てることが出来ることが多いです。ただし収入が不安定となる障害年金の場合は収入と考えてもらえずに個人再生の審査で、裁判所側から定期的な収入と考えてもらえないために、不利な扱いになる場合があります。これがそもそも有期であって更新制になっていることが一つの原因ですが、無期すなわち永久的に受給できる場合もあるので、この場合については代理人となる弁護士などによく伝えることが肝心となります。
給料など毎月一定額必ず収入があり、その収入の中から返済を行っていくというのがこの制度です。裁判所に提出する再生計画では借金の総額を5分の1にしてそれを3年かけて返済していくということですから、その3年間で見込まれる収入がはっきりと分からなければ認可されないです。たとえば病気休職などで給料がもらえないときに受給できる場合として傷病手当金がありますが、この傷病手当金では再生計画の主たるものとして考えることが出来ません。
老齢年金は定収入とみなされる
老齢年金の場合はいったん受給され始めたら多少の減額などが起こりえるにせよ、打ち切られることはありません。死亡するまで受給できるわけですし、確定申告により収入としてはっきりとわかるものです。この場合は個人再生の返済や生活資金の原資として考えられるわけで、問題なく対応することが出来ます。
収入は通常は個人が行う確定申告や勤務先が年末調整後に申告を行いますので、それほど問題になることはありません。裁判所から求められる書類の中に直近の給料明細書や住民税課税証明などがあり、こうしたものを通じて返済が可能かどうかを見極めます。再生計画通りに返済が行われるのかどうかさらに途中で返済が失敗しないかどうかなどを考慮していく流れです。
毎月年金を含む給料などの収入があるときには、それらを再生計画として提出する書類の中に含めていきます。個人再生ではこの収入の中から借金の減額分の返済を行いますので、その返済をした上でさらに生活が成り立つかどうかを考える流れです。あくまで生活再建をメインに考えますので、借金の返済をしつつさらに生活が成り立つような再建計画でないと裁判所が認可しません。再生計画が認可されないときには別の方法での債務整理を考慮することになります。
返済に無理が生じたら再生計画変更
いったん再生計画が認可されるとその計画に従って返済を行っていきます。途中で返済が行き詰まってしまって決められた金額の返済が出来なくなったときには、債権者すなわち借金をした相手側から裁判所に対して、再生計画の中止を申し立てられることもあり、注意を要します。ただし条件はかなり厳しいですがやむを得ない事情でそれ以上の返済が出来ないときには、ハードシップ免責などの申し立てを行いそれが認められれば、再生計画は終了することもあります。ただしこの申し立ては条件が厳しいために注意が必要です。通常はこのハードシップ免責ではなく再生計画の変更などで対応をします。
年金収入のうち老齢年金については所得税及び住民税の課税対象です。確定申告を行っていなくても税務署や市町村役場などは把握していますので、その情報により課税を行います。この収入は多少の増減はあるもののいったん受給を開始したらその後死亡するまで受給するわけですから、収入認定されます。この分も含めて再生計画に影響を与えることになります。
個人再生では収入や支出を厳しく管理し、計画に則って真摯に対応をすることが求められます。万が一再生計画が失敗するようになると借金が元に戻ってしまい、自己破産以外の方法がとりづらくなることもあるので計画的な対応が欠かせません。