川口市で自己破産するには?自己破産の流れを解説します。

気付いた時には借金が返せない!?

夫の給料収入により生活をしていたAさんは、化粧品等の訪問販売を始めましたが、売れ残りにより損失が生じてしまい約80万円の債務を返済できない状態となっていました。しかし、その後もAさんは宝石の訪問販売を行いましたが、売れ行きが悪く、更に債務を増加させてしまいました。Aさんは、信販会社等から借入れを繰り返しましたが、債務は雪だるま式に増加してしまい、最終的には新規の借入金では債務が返済できないような状態に陥ってしまいました。そのため、Aさんは自己破産の申立てをし、破産手続開始決定および同時廃止の決定を受けました。

Aさんのように借金を繰り返し、返済できない状態になった場合の法的な手段として倒産法による自己破産が用意されています。そこで、以下では川口市における自己破産の方法について詳しく解説していきたいと思います。

破産手続きとは?

まず、自己破産について解説する前提として、破産手続について説明したいと思います。破産手続とは、法的倒産手続きの中核をなすものであって、清算型倒産処理手続きの原則的な形態です。つまり、破産は精算型手続きとして債務者の財産を処分することにより金銭化し、その金銭を債権者に配当する手続きです。財産を処分するという点が、破産を回避して経済生活の債権を図ろうとする個人債務者に特化した簡易な再建型手続きである(小規模個人)再生とは異なる手続きになります。

自己破産とは?

日常会話としてよく自己破産という言葉を耳にした方が多くいらっしゃると思います。その自己破産は破産とは異なるものでしょうか?

そもそも破産の手続きは、原則として申立てによって開始します。破産手続開始の申立権者は、債権者および債務者(破産法18条1項)が行うことがほとんどです。そして、ここでいう債務者が自ら申し立てる場合を自己破産といいます。そのため、自己破産といっても法的な手続きにおいては債権者が申し立てた場合とはほとんどかわらず、名称が異なるというにすぎません。

ちなみに、自己破産というと個人というイメージをお持ちの方がいると思いますが、株式会社の場合に取締役会で破産申し立てを議決して代表取締役や代表執行役が申し立てる場合も自己破産にあたります。

破産の手続きを行うには?

(1)申立権者および申立手続き

3.で説明したとおり、破産の手続きは申立てによって開始されます。そして、この破産手続開始決定の申立ては書面により行われます(破産法20条1項)。申立書には、申立ての趣旨や、破産手続開始決定原因事実などのほか、債務者の収入・支出の状況、破産手続開始決定事実が生じるに至った事情等が記載されます。

自己破産の場合には、原則として申立てと同時に債権者一覧表を提出しなければなりません(破産法20条2項)。そのほかの添付書面としては、住民票、収入・支出の記載書面(家計状況報告書)や源泉徴収票、課税証明書、財産目録等が求められます(破産法規則14条)。さらに、債務者の陳述書や生活状況報告書(勤務先、家族構成、住居状況等)、生活保護受給証明書、住居賃貸借契約書、生命保険証書などの提出が求められる場合もあります。このような書類の提出が求められるのは、債務者の資産・負債の状況を裁判所が早期に把握し、手続きの迅速・円滑な進行を可能にするためです。

(2)申立手数料

破産の申し立てに際しては、申立手数料が必要となります。申立手数料は自己破産の場合には1000円になります。

また、申立てについては予納金を納めなければなりません。予納金の額は、財産や債務者の負債状況、債権者の数等の事情を考慮して定められます(破産法規則18条)。管財人が付かない同時廃止(同時廃止については下記で説明します。)事件の場合には、主に破産手続開始決定等の公告のために費用が充当されるものなので予納金は割安になっています。

破産手続開始申立てが受理された後は?

(1)審問

破産手続開始申立てが受理されると、裁判所書記官により受付票が発行されます。この受付票が発行され、それが債権者に提示されると貸金業者の債権回収のための追及が事実上停止されます。同時に、破産者の財産管理処分権が剥奪されるため破産者による弁済も禁止されます。

その後は、破産申し立てに基づき破産手続開始原因等を審理するために債務者の審問が行われます。この審問は通常簡単なもので上記のような提出書類の内容に誤りがないことを確認する程度のものです。また、生活保護受給者などについては、審問事態を省略して破産手続を開始するような運用もされています。

現在では、さらに手続きを迅速化し弁護士が代理人となっており問題がないと認められる事件については、面接当日に破産手続を開始する(同時廃止する)という即日面接事件と呼ばれる運用もされています。

(2)免責審尋

現行破産法では、自己破産の申立てがあった場合には債務者が反対の意思を表示しない限り、同時に免責許可の申立てをしたものとみなされます(破産法248条4項)。これは、債務者の通常の意思を勘案し、免責申立てを忘れることによる再申立てなどの発生を防止するためのものです。

免責は、免責不許可事由がない限り必ず許可されます(破産法252条1項)。しかし、財産を隠匿・損壊したり(同項1号)、破産手続開始遅延目的による著しく不利益な条件による債務負担や信用取引によって買い入れた商品の著しく不利益な条件による処分をしたり(同項2号)、非義務的な偏頗行為をしたり(同項3号)、浪費・賭博等の射幸行為によって著しい財産減少・過大な債務負担をしたり(同項4号)、債権者をだました詐術による借入れをしたり(同項5号)、業務財産関係の帳簿等の隠ぺい・偽造・変造をしたり(同項6号)、虚偽の債権者名簿の提出(同項7号)や、裁判所の調査に対する説明拒否・虚偽説明(同項8号)、不正の手段による管財人等の職務妨害(同項9号)、破産手続中の義務違反行為(同項11号)などを行った場合には免責不許可事由となり免責の許可がなされなくなるので注意しましょう。

もっとも、破産免責制度は、破産状態に陥った多重債務者を救済する最終的な手段であることから、過剰な賭博・浪費行為や財産隠匿行為など特に債権者の信頼を害する悪質な事由がなければ比較的緩やかに免責の許可決定がなされます。

免責許可決定がなされると原則として破産者はすべての破産債権に対してその責任を免れます(破産法253条1項本文)。もっとも、免責されたとしても債務者が任意に弁済した場合にはそれは弁済としての効力を有します。

同時廃止および少額管財

自己破産の手続には資産や借金等の状況により同時廃止と少額管財という2種類の手続が用意されています。

(1)同時廃止

消費者破産の実務では、破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止する同時廃止(破産法216条)の事件が多数を占めています。同時廃止事件では、管財人は選任されないので、手続費用が安く済み、破産者は免責を取得して目的を達成することができます。

同時廃止にするかどうかについては、破産財団に属する財産が一定額を超えるかどうかが原則的基準とされ、財産がその額を超えない場合には原則として同時廃止とされます。

同時廃止の場合には、上記4.および5.で説明した流れに沿って破産手続開始決定がなされます。

(2)少額管財

少額管財とは、消費者破産において一般的である同時廃止を避け、比較的安い報酬で破産管財人を付し、手続きをできるだけ簡略化しながら破産手続を進めるという運用です。この手続きで選任された破産管財人は、債務者の資産を調査・換価し、配当を行い、また免責手続きでの意見陳述行います。破産管財人は通常よりも相当廉価な報酬にしょって職務を行います。

少額管財の場合には、4.で説明した申立てを行い、5.(1)で説明した面接が終了した後に破産管財人との面接が行われ、債権者集会が行われた後に免責許可決定がなされるという流れになります。

まとめに

現在日本では、リストラ破産や住宅ローン破産などさまざまな種類の破産が多くなり問題はさらに深刻化し、今後さらに破産件数が増加していく可能性があります。川口市においても自己破産を考えていらっしゃる方をフォローいたします。お気軽にご相談下さい。

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